らふえる訪看ICT活用日記

訪問看護業務ICT化について日々の実践から綴ります。

訪問看護の看護過程:過程のスタートは利用者の要望

看護過程は一般的に、情報収集 → 問題の抽出 → 看護診断(因果関係の明確化)→看護計画立案 → 実施 → 実施の評価 → フィードバック(計画変更)という段階を踏む問題解決過程です。

訪問看護の看護過程にこれを当てはめようとしても、なんだかしっくりこない・・・。よくよく考えてみたら、スタートが違っていました。

上記のように看護過程は情報収集から始まりますが、訪問看護では利用者およびその家族が、訪問看護師にして欲しいことから始まるのです。入浴介助して欲しい、褥瘡処置して欲しい、お薬カレンダーセットして欲しい、おしっこの管(バルンカテ)入ったけどどうしよう、人工肛門の周囲がただれてきた、認知症の母に振り回されている、昼間独居だから様子見に来て、介護の事相談に乗って欲しい、最後は自宅で看取りたい・・・等々。

まず情報収集しようとしても、大体、訪問看護開始時にはほとんど情報はありません。とくに検査データや画像データなどの客観的データは、開始後もほとんど手にはいりません。情報は日々の訪問看護の関わりの中で、五感を使って収集するしかないのです。

けれども、これらの要望が、どのような身体状況や介護背景から出てくるのか、意味付ける作業を怠ると、ただやっているだけに終わってしまい、利用者の満足感や看護師の達成感は得られません。

スタートは違うかもしれませんが、看護過程という思考過程に沿って要望の根源にある問題点を明確にし、理解してこそ、効果的なケアが実施できると思います。