らふえる訪看ICT活用日記

訪問看護業務ICT化について日々の実践から綴ります。

訪問看護の看護過程:プロローグ

以前、某病院に整形外科系の手術を受けるために入院したときに、受け持ち看護師から看護計画書なるものの説明があり署名を求められました。その計画書の#1には「褥瘡リスク」、#2は「手術に対する不安」とあり、術後の疼痛とか運動機能低下に関連したことなどはもっと下位の問題となっていました。

私が受けた手術は翌日からリハビリが開始される予定となっていたので、褥瘡ができるほど長期の安静でもなく、私には骨突出もなく栄養状態は良好。にも拘わらず説明では術後安静による褥瘡リスクがあるということでした。不安については、多分手術を受ける人が一般的に抱く不安はあったかもしれませんが、私自身はその自覚すらなく、不安は無いと主張しても「でもあるでしょ」決めつけられました。

入院中、これらの看護診断に関するケアを受けたかというと、褥瘡予防のケアは好発部位の観察を含めて一切なし。また、不安に対して「どうですか?」の声掛けも無し。

これらのケアを受けずとも術後経過は良好で、予定より1週間早く退院できましたが、あの署名まで求められた看護計画書は何だったのかと、今だにもやもやしています。

 

看護師は学生時代に看護過程について学びます。臨地実習も看護過程に沿って展開します。看護過程とは問題を解決するための思考過程で、私は看護師が専門職者として基本的に身につけるべきスキルだと考え、筑波大で慢性看護学を担当していた時には、看護過程の教育に力を注いできました。しかし卒業後の臨床現場では、残念ながら形骸化しているのが現実のように思います。これに拍車をかけているのが電子カルテの導入です。看護診断に至るまでに考えを巡らせなくても、定型の看護診断が出力されてしまう・・・ゆっくり考える時間が無い臨床現場では仕方ないことなのでしょうか?

 

私が働いているらふえる訪問看護ステーションでもサービス開始時に「訪問看護開始時計画書」を利用者に提示し、署名をいただきます。看護師から計画書の説明を聞きながら、利用者や家族が「そうそう、そこなのよ、それをやって欲しいの」と言ってもらえると、とてもうれしくなりますし、まず第一段階の信頼関係は築けたと思います。この同意があってこそ、利用者(患者)中心の看護過程が展開できるのではないでしょうか?