らふえる訪看ICT活用日記

訪問看護業務ICT化について日々の実践から綴ります。

前向きにがんばろうとしても、さて、前はどっちだ?

約1ヶ月間ブログの投稿を休んでしまいました。

コロナ関連の状況が目まぐるしく変わる中で、書いては消し、書いては消しで文章を完成することができませんでした。

緊急事態宣言は解除されましたが、これから新しいライフスタイルの模索が始まります。ライフスタイルだけでなく、これまでの常識、価値観も変えていかねばならない状況です。さあ、前向きに頑張ろうと思っても、さて、前はどっちだ??

自粛生活の最中、ある女性実業家が「こんな経験、なかなかできるもんじゃないよね。」とサラリと言ってのけた言葉が印象に残りました。

この方の事業もかなりの減収で、借り入れも必要な状況とのことですが、こんな風に気持ちを切り替えられる人は、経験から学び、進むべき「前」を見出せるのだと思いました。

新型コロナウイルス感染症の経験から、私たちは多くのことを学んだはず。世の中が変わろうとしている今、訪問看護も今までのやり方ではだめだと思います。貴重な経験から学び、進むべき「前」を見出すことができればいいと考えています。

励ましてくれる歌を口ずさみながら・・・

先週14日から、訪問件数を最小限に自粛し、問題が少ない利用者には電話訪問をしています。9日が過ぎ、利用者の状態が悪化したなどの問題は発生していません。電話をかけると普段あまり話していなかった家族と話ができてよかったという報告もありました。

訪問看護の自粛は2週間が限度で、来週は元の訪問予定に戻し、やるべきケアを集中して実施してGWに備えます。来週は忙しくなりますが、私たちにはやるべき仕事があることが嬉しいです。

しかし、GW明けはどうなるのだろう?緊急事態宣言が解除になる見通しはたっていません。

世の中全体が自粛、自粛で停滞していった先に、光が見いだせないことが辛いですね。連日の報道を見ていると次から次へと問題が出てきて気持ちが暗くなります。

懸念されるのは、経済の悪化です。個人経営の訪問看護ステーションは厳しいですね。

上を向いて歩こう~~♪ 励ましてくれる歌を口ずさみながら、今できる仕事に向き合うしかないですね。

 

 

ICT化しておいてよかった!

 

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らふえる訪問看護ステーションの様子

本日のらふえる訪問看護ステーションの様子です。

職員がステーションに立ち寄る機会を最小限にして感染予防に努めています。

うちは以前から直行・直帰で働いていますが、午後になると誰か来て、結構にぎやかでしたが、3密を避けて感染者や濃厚接触者を出さないための静寂です。

このような対策で、営業休止になる事態は絶対に回避したいとがんばっています。

らふえる訪問看護ステーションでは、スケジュール管理ソフト(自社開発のTELESA)やメディカルケアステーションを導入してきました。まさか、人と人の間に距離を取らねばならない事態が起きるとは考えていませんでしたが、ICTを導入していてよかったと思います。

昨年は遠隔モニタリングシステムの実証研究にも参加しました。研究段階で終わってしまいましたが、今の状況では便利なツールだと思います。実用化には間に合わず残念です。でも、これを機に開発が進み、普及していくでしょう。

皮肉なことに新型コロナウイルスが、ICT化や働き方改革など、なかなか進まなかった社会変革の加速化に一役買っていることは事実です。

 

 

緊急事態宣言は出たけど・・・

緊急事態宣言が出て1週間以上たちますが、事態は一層混乱しているように感じます。

日本は小さな国なので緊急事態宣言は全国一斉に出してもらえばよかったのにと思います。らふえる訪問看護ステーションは、14日から2週間、訪問件数を減らしていますが、利用者にこのことを説明すると「茨城は緊急事態宣言出ていないでしょ」と言われることがあり、感染予防に対する認識に温度差を感じています。緊急事態宣言の対象地域になっていないことは安全が保障されたというわけではないのに・・・

混乱状態の中にあって、守るべきものは人々の命です。今、私が管理者として守るべきは訪問看護の利用者と職員と家族です。国の対策が遅いのなんのと批判したり、愚痴をこぼす前に、私の責任範囲内でやるべきことを粛々とやるしかないのです。

 

 

命を守るための矛盾と葛藤

政府はいよいよ緊急事態宣言を出す決意をしたようだ。

報道では在宅医療や介護に関することは全く触れられていなかったが、らふえる訪問看護ステーションでは、本日、利用者に対して緊急事態宣言が出たときの対応方法(4/4のブログ見てください)について通知した。ほとんどの利用者の訪問を休止し、定期的な電話で対応することにした。いかなる状況であっても利用者が看護を必要としていることは変わらないのだが、地域を動き回る訪問看護師が知らない間に感染してウィルスを運ぶリスクは高く、利用者の警戒心も増している。

重症化リスクの高い高齢者のほとんどは、世話をしてもらうことが必要で人と接触しないわけにはいかない。3密を避けろと言われても、狭い室内で、耳元で大声で話し、体にも触れなくてはならない。

利用者の命を守るために、手を差し伸べるのではなく、引っ込めなければならない・・・という矛盾をどのように理解していけばいいのだろう? こんなことをして訪問看護への信頼を損なうことにならないだろうか? でも、私(看護師)が感染源になったらアウトだ。

緊急事態宣言の対象地域に茨城県は含まれていないので、訪問自粛をいつから開始するか決めかねているが、ここ数日の感染者の増加をみていると油断はできない。

ぎりぎりまでがんばって、今週中には決断かな? 決断しても葛藤は続く・・・

コロナ感染拡大の背後にある在宅医療崩壊にも気づいて欲しい

今日は外出自粛で一日家にいた。テレビでは朝からコロナ関係の報道が流れていたが、感染者の急増に伴う医療崩壊の話題が強く訴えられていた。

病院の医療崩壊は深刻な問題だと思うが、訪問看護に従事している者としては在宅医療はどうするんだというモヤモヤが広がるばかりだ。

訪問看護の利用者にはバルンカテ管理が必要な人もいる、自力で便を出せない人もいる、自宅で看取りの時期を迎えている人もいる。独居で認知症がある人には私たちがお薬をセットしてあげないとちゃんと服薬できず状態が悪化してしまう。インスリン注射が必要な人もいる。感染が蔓延しても訪問看護のニーズが減ることはない。

けれども訪問看護は地域内を動き回るので、どこで感染するかわからず、訪問看護師がウィルスを運んでくると警戒され、しばらく休止してほしいという連絡も増えてきた。

訪問看護ステーションでは、自分たちが感染源にならないように、看護師同士の接触を減らす働き方を工夫したり、訪問回数や滞在時間を減らしているが、仕事量の減少は経営を直撃している。緊急事態宣言が出れば利用者をトリアージし訪問を縮小しなければならないし、さらに職員に感染者が出れば営業休止せざるを得ない。訪問件数の減少は収入の激減につながる。コロナ感染が収束するまでに、経営基盤が脆弱な訪問看護ステーションは持ちこたえることができるだろうか?

コロナ感染が起きる前は在宅医療はわが国の重要課題として扱われ、訪問看護はその要だと期待されていたはずなのに、今は消毒用エタノールも確保できず、マスクは手作りで、やっと国から配布されたのは感染防御力が全くない布マスクが1枚ずつ・・・(訪問看護ステーションは医療機関のはずだが・・・?)。

我が国の高齢化と介護の問題はコロナ感染拡大に影が薄くなっているようだが、現実は深刻な問題として遷延している。コロナ感染による医療崩壊の背後で、在宅医療の崩壊が進行していることにも気づいて欲しい。

コロナ対策と管理者の責任

連日、コロナの感染者が増えており、緊急事態宣言がでるのも時間の問題かと・・・

らふえる訪問看護ステーションでは、このような事態になった時に慌てすに対処できるように、2月中から対応策を検討し、職場内だけでなく、利用者、ケアマネ、主治医など関係者にも発信してきました。

対応策を早めに打ち出したのは、感染が拡大しても訪問看護ステーションとしての機能を維持し、利用者を守るためです。

2月中旬には利用者に「新型コロナウイルス感染症拡大をふせぐためにお願いしたいこと」という文書を送付し訪問前の検温をお願いし、37.5℃以上の発熱があった場合の対応(厚労省が出した相談基準)と、らふえる訪問看護ステーションの対応方法を明確にしました。

同時に、以下のような内容のコロナ感染予防マニュアルを作成し職員に周知しました。

  • 始業に検温し報告(MCS利用)する
  • 直行・直帰の徹底
  • ステーションに来た場合は滞在時間を記録する
  • 訪問時、利用者に37.5℃以上発熱あった場合の対応方法を理解し、統一した行動をとる(利用者への通知を理解する)
  • スタンダードプリコーション実行の徹底

3月中旬に茨城県に感染者が発生。今後、職場内で感染者が発生して営業休止になったり、緊急事態宣言が出て活動に制限が出た場合を予測して、利用者のトリアージをおこないました。グループに分けることで、事前に家族への指導やケア関係者との連携など準備ができます。赤グループの利用者はケア手順を作成し、もし他の訪看に代わってもらうことがあっても困らないよう準備ができています。

  • 赤グループ・・・医療的ケアの継続が必要
  • 黄グループ・・・訪問は中止して定期的に電話で状態を確認する
  • 緑グループ・・・訪問は中止して異常があった場合に利用者から電話してもらう

非常事態宣言が出そうなタイミングを見計らって、利用者にはどのグループになっているか通知する予定です。あまり早く通知すると、重要な事と捉えてもらえなかったり、逆に不安や混乱を招く可能性があると考えているからです。このタイミング、以外と難しいかも・・・(安倍総理・・・どうするんだ~ぁ)

なぜ、こんな風に早めに手を打っているか・・・それは職員がこの非常事態でも、平常心で仕事ができるようにするためです。事態に変化があった時、とるべき行動がはっきりしていれば、不安にならず、パニックにならず、利用者を守ることができます。

訪看管理者の責任とは、こういうことだと思います。